転勤などで、持ち家を借家として貸す場合や、いずれ子どもが帰ってくるまでの間、手持ちの空き家になっている住まいを貸すといったような、いずれ決まった時期に借家人に必ず家を空けてもらわなければならない、そんな要望を満たしてくれるのが定期借家制度です。
借家経営を行おうとするとき、最も心配なのは借家人が契約を守ってくれず、かつ立ち退きにも応じてくれないということでしょう。
もちろん、こんな借家人は多くの借家人のなかのわずかな人にすぎませんが、もしそんな人に当たったらという不安を普通の人ならもって当然です。
また従来の「普通借家契約」の場合には、契約はほぼ自動更新であり、借家人の権利保護意識が強いといわれるわが国の法制上、借家人にトラブルがあってもすぐに退去してもらうのは難しいという感覚を多くの人が持っていたのです。
そのため、重要な社会資本のひとつである優良な住宅が空き家のまま放置されている状態が都心部や郊外など多くの地域で見られるようになってきました。
こうした事態の改善のために、普及を図られたのが「定期借家制度」です。
定期借家契約は、非常に簡単にいえば、更新のない借家契約といえるでしょう。
すなわち、借家として貸すときに賃貸期間をあらかじめ決めておき、その契約期間が切れると、必ず退去することが条件となるのです。
もしも継続してその家を借家人が借りたい場合には、その時点から新たな定期借家契約を結ぶことになります。
当初は、契約期間が切れると、再契約をしない定期借家契約が主流だったのですが、現在では、より借家人を見つけやすくするために、再契約型の定期借家契約を結ぶことも多くなっています。
すなわち、現在では定期借家契約に2種類あるといってもよいでしょう。
そのひとつが、「再契約型の定期借家契約」。
この契約では、借家人との間に特に問題ない場合には、家主と借家人が協議の上、再契約をすることになります。
この契約では、もし借家人が不良借家人であった場合、契約期間満了で退去させることができます。
特に問題がない場合には、再契約を行う意思があることを事前に入居者と取り交わしておくのが一般的です。
もうひとつが、「再契約不可型定期借家契約」です。
これは、再契約をしない期間限定の契約方式であり、転勤などの期間が明けて、将来戻ってきたときに、トラブルなく自分が入居できるよう設定しておくことができる契約です。
空き家などの不動産活用を考えるときには、この2つの定期借家契約ができることを念頭においておきましょう。